児童発達相談
発達障害とは?
自閉症・広汎性発達障害・アスペルガー症候群・自閉症スペクトラムとは?どれか聞いたことがありますか?色々な名前がついていますが、この名前に共有な特徴としては、
1. 人との関わりやコミュニケーションが苦手
例えば…
相手の気持ちをくみとれない
相手の言葉や表情、ジェスチャーから気持ちをくみとり対応することが難しいです。 苦笑いしながら叱ると、叱られたではなく、笑っているから相手は怒っていないと思うこともあります。
場の空気が読めない
場面に合わせた対応ができないことがあります。 例えば、正しいけれど言わない方がいいと思うような場面を読み取れないので、お葬式などで周りが悲しんでいる中で、大きな声で笑ったりすることがあります。
文字通りに言葉を理解する
伝えた言葉を文字のままに理解し、勘違いしたり周りとトラブルになることがあります。
例えば、「学校からまっすぐ家まで帰ってね」という言葉をそのままに理解すると、「家まで曲がり角があるからまっすぐでは家に帰れない!」と混乱してしまうことがあります。(寄り道をしないで帰ってねという「まっすぐ」という言葉の裏にある意味を理解することが難しく「まっすぐ」という言葉そのままを理解してしまう)
冗談が通じない
冗談や遠回しな表現(慣用句など)が理解できないことがあります。
例えば、包丁を使うときに手を切らないように「丸めて猫の手にしてね」というと、「自分は猫ではないから猫の手にはできない」となってしまったり、言葉のあやで「お馬鹿だね」というと「馬鹿って言われた、馬鹿にされた」と憤慨してしまうことがあります。
大人びた言葉づかいをする・独特な表現をする
年齢に似つかわしくない大人びた言葉づかいや、言葉に抑揚がなく独り言や棒読みのような表現をするなどといった特徴も見られます。
表情やジェスチャーに乏しい
表情の変化やジェスチャーなど非言語的なコミュニケーションに乏しいことがあります。
2. 興味の偏り・こだわりが強い
興味や関心のあることに対しては、非常に強いこだわりを見せるといった点があります
気持ちの切り替えが難しい
好きなことにはとことん集中する一方で、それをやめることが苦手です。
また、自分のこだわりを変更することが難しいことがあります。いつも決まった道を通らないと気が済まない、同じ服をずっと着ているなど決まったルールを変更しようとすると混乱してしまうことがあります。
好きなことの幅が狭くて深い
自分が好きなことに関してはものすごい興味を示して、はまりますが、他のものには全く興味を示さないという特徴が見られます(時として、好きなゲームやパソコンは何時間でもできるが、勉強は全く集中できないなど、わがままと思える行動を示すこともあります)。
同じ動作を繰り返しておこなう
手をばたばたさせたり、同じところをくるくる回ったりといった動作を繰り返す場合があります。
3. 感覚に対して過敏さを表すことがあります五感が敏感・鈍感
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚といた五感が敏感で、特定の刺激を感じすぎてしまい、困難が生じる場合があります。
例えば敏感すぎると· 大きな音が苦手(チャイムなど大きいと一般的に感じない音でも大きく感じ不快になることがあります)
· 決まった毛布などの手触りを好む
· 明るいところが苦手(まぶしいところに出られない)
· 特定の匂いのする部屋に入れない など
また、触覚が鈍感でボタンのかけ外しなど細かい手作業が苦手な場合があります。
運動する感覚が鈍い
身体のバランスが難しく、力の入れ方が難しいために、雑巾を絞れなかったり、平均台やマット運動、縄跳びやスキップが苦手なことがあります。
ADHD(注意欠如多動症)とは?
不注意(集中力がない)
多動性(じっとしていられない)
衝動性(突発的に行動してしまう)
の3つの症状がみられる発達障害のことです。
この3つの症状から日常生活の中で支障をきたすことがあります。ADHD3つの症状について
1.不注意による症状
・忘れ物が多い
・何かやりかけでもそのままほったらかしにする
・集中しづらい、でも自分がやりたいことや興味のあることに対しては集中しすぎて切り替えができない
・片づけや整理整頓が苦手(机の中がぐちゃぐちゃになる)
・注意が長続きせず、気が散りやすい
・話を聞いていないように見える(実際は聞いていたりする)
2.多動性による症状
・落ち着いてじっと座っていられない(立ち歩いてしまう)
・そわそわして体が動いてしまう(椅子をガタガタ鳴らす)
・過度なおしゃべり
・公共の場など、静かにすべき場所で静かにできない )
3.衝動性による症状
・順番が待てない
・気に障ることがあったら乱暴になってしまうことがある
・会話の流れを気にせず、思いついたらすぐに発言する
・他の人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりする
ADHDの3つのタイプとそれぞれの特徴
ADHDといっても、人それぞれ症状のあらわれ方は変わってきます。そして、大きく3つのタイプに分けることができます。また、性別によっても多いタイプが変わってきます。
1.多動性-衝動性優勢型
多動と衝動の症状が強く出ているタイプ。
・落ち着きがなく、授業中などでも構わず歩き回ったり、体を動かしてしまうなど、落ち着いてじっと座っていることが難しい
・衝動が抑えられず、ちょっとしたことでも大声をだしたり、叩いたり蹴ったりしてしまうため、乱暴な子、反抗的だととらえられやすい
・衝動的に発言をしたり、自分の話ばかりをする
・男性(男の子)に現れることが多い
2.不注意優勢型
不注意の症状が強く出ているタイプ。
・気が散りやすくて、物事に集中することが難しい
・やりたいこと、好きなことに対してはとても集中して取り組むがなかなか切り替えれずにやめることができない
・忘れ物や物をなくすことが多く、ぼーっとしているように見えて人の話を聞いているのか分からない
・反抗的ではなくおとなしいことも多く、ADHDと気づかれにくい。不注意の特性は女性(女の子)に現れることが多い。
3.混合型
多動と衝動、不注意の症状が混ざり合って強く出ているタイプ。
・多動性-衝動性優勢型と不注意優勢型のどちらの特徴も併せ持っており、どれが強く出るかは人によって異なります
・忘れ物や物をなくすことが多く、じっとしていられず落ち着きがない
・ルールを守ることが苦手で順番を守れないことや衝動的に行動をすることがある。
ADHDはアスペルガーや自閉症を含む自閉症スペクトラム(ASD)や学習障害(LD)などほかの発達障害や、睡眠障害などと合併することもあります。その場合は上記に挙げた以外の症状が見られる場合もあります。
学習障害(LD)とは?
幼児期は他の子どもの発達と比較しても差がほとんど見られず、小学校に入る頃に「学習障害(LD)」とわかるパターンが多いのが特徴です。
決して勉強不足や教え方の問題ではありません。 学習障害(LD)を持つ場合、小学校に入り学習に直面したとき、困難を感じる事が多くなります。
<学習障害(LD)の子どもが困難を感じやすいシチュエーション>
· 「話をきちんと聞いて理解する」
· 「物語や本、会話の内容を理解する」
· 「自分の思いをスムーズに話す」
· 「きちんと間違えずに文字を読み書きする」
· 「数字の計算をする」
通常小学校に入り、授業の中で自然と身についていくものですが、書くことはできても読むことができないなど、ある特定の学習で大きくつまずことで「学習障害(LD)」が発覚します。
幼稚園・保育園という学習がメインではない時期は他の子どもと変わりなく発達していくため、身近な家族でさえその判断がとても難しいのが特徴です。
学習障害(LD)は知的発達の遅れではない学習障害(LD)とは一言で説明するのがとても難しく、知的発達に関しては大きな遅れが見られないと一般的には言われています。
見た目や行動は他の子どもと変わらず、苦手とすること以外の学習はスムーズに行えるため、障害を持っているようには感じられないことが多いです。
しかし、明らかに他の子どもとは違う気になる点があるのが学習障害(LD)です。
学習障害(LD)の3つの特徴。
苦手分野によって異なる名称があります。
学習障害(LD)の子どもに見られる傾向として、大きく3つの特徴があげられます。
読字障害(ディスレクシア)
日本語では「め」と「ね」や、「た」と「に」、カタカナでは「シ」と「ツ」など似通った文字はとても多くあります。似たような字を読み間違えたり、行を飛ばして読んでしまいスムーズに本読みができないという特徴も見られます。
書字障害(ディスグラフィア)
文字を書くことが苦手で、一本線が多く書いてしまったり、文字の大きさも不揃いであったり、小さい文字を書くのがとても難しいことがあります。 漢字の書き取りは特に難易度があがり、部首の位置の記憶が曖昧で、書き順も違っていたりと、漢字そのものを正確に覚えられない傾向があります。
算数障害(ディスカリキュア)
数の大きさの感覚がわからない、繰り上げ、繰り下げをする計算が出来ないなどが特徴です。 図形やグラフなども苦手であり、九九の暗算や計算もとても困難となります。 「数」というそのものの概念を、理解することが難しいことが多いです。
発達障害についてのまとめ
障害どうしが色々重なり合うこともあります。そして、その難しさの程度も個人個人で違い様々です。そして、ここからがはっきり「障害です」と線引きすることは難しく、虹が少しずつ色が濃くなるように、様々な特徴が色濃くなってくることで診断にいたります。
その障害も根本としての原因は「脳や中枢神経系の機能に障害が起きている」という考えが主流です。その為本人の勉強不足や、親の育て方などによって発症するものではない、ということを理解しておくことが大切です。
子供への対応について我が子が何かまわりと「違う」と感じることで不安になったり、他の子ができることをわが子ができないと、イライラしたり、叱ったりしてしまう、または親として自分自身を責めてしまうということもあるでしょう。
障害によっては、周囲の人には「勉強を怠けている」、「努力していない」「わがままだ」「親の育て方が悪い」と映ってしまうこともあるでしょう。
また、子供自身も引け目を感じたり、自分はダメな人間だ、何をやってもうまくいかない、こんな自分はいない方がいいと、自信をなくしてしまいがちです。自信を失くして生活し続けたりしてしまうと、うつ病や引きこもりなどの二次障害を引き起こす原因にもなります。家庭や学校を中心とし、子どもの特性を理解した上で、子供にあった環境を作っていくことは大切です。
クリニックでは、家庭・学校・地域・クリニックで連携を行っていくことで、地域で育っていく子供たちをたくさんの目で支援できたらと考えています。 お子様の特徴で気になることがありましたら、お気軽に当クリニックにご相談ください。
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